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 スチュワート,ポール著 リデル,クリス絵
 崖の国物語〈5〉最後の空賊 ポプラ・ウイング・ブックス
 出版社: ポプラ社 ; ISBN: 4591082288 ; 548 p ; サイズ(cm): 19 x 13 (2004/08)
たかが50年、されど50年。地図を一目みただけで、崖の国が新しい時代に入ったことがわかります。ちゃんと歴史が書かれていると思えます。
 深森の居留地とか、浮かぶ書見台とか、スチュワート氏の想像力は素晴らしいと思います。私も飛翔機欲しいです。ニスを塗ったらすごく浮かぶなんて、すごいアイディアですよ。
 石の巣病はラストまでに原因が明らかになるのかと思ったら、次へ持ち越しでした。
 それにしても、1〜3までの主人公だったトウィッグの、その後の人生のあまりの悲惨さには涙…。
 ルークとザンスはこの先どうなるのか、石の巣病は克服されるのか、次巻が気になります。
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 ニーチェ,フリードリヒ
 ツァラトゥストラ(上・下) ニーチェ全集〈9、10〉ちくま学芸文庫
 出版社: 筑摩書房 ; ISBN: 4480080791 ; 上巻496 p 下巻733 p ; サイズ(cm): 15 x 11 (1993/06)
 要約すると、『神(=キリスト教)が人間の規範と成り得なくなったこれからの世界の人間の生き方を考えた本』ということでしょうか。
 1800年代の出版とは思えないぐらい、今読んでもふうん、と感心することも多いです。
 出版当時はそうとうセンセーショナルだったんじゃないでしょうか。
 ただしよくわからない比喩が多くて難解です。昔の詩を読んでいるような気分でした。
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 藤原 伊織
 雪が降る 講談社文庫 (著)
 出版社: 講談社 ; ISBN: 4062731762 ; 文庫: 342 p ; サイズ(cm): 15 x 11 (2001/06)
 藤原氏はくたびれた(でもそれがどうしようもなくかっこいい)中年オヤジを書かせたら右に出るものはいないと思っています。
 そんなオヤジの魅力爆発な6篇の短編集です。
 <トマト>はたった10pの超短編です。でも超オススメ。
 人魚の女の子が初めてトマトを食べるお話…というと大分イメージが変わってしまいますが。
 『むごたらしく悲惨』という言葉がとてもよいと思う日が来るなんて…。
 <紅の木>はこの短編のなかでは一番のお気に入りです。『てのひらの闇』のおおもとになった短編ですが、こっちのほうが個人的には好み。
 小さな女の子との約束を果たすため、女の子の母親を助けて主人公が最後に死んでしまうシーンとか、まさに『むごたらしく悲惨』なのですが、美しいとさえ思ってしまうのはやっぱり筆力なのでしょうね。  



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